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日記や雑記、何やかやです。
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爆弾投下です。掲載予定作品の最初をちらりと。
どうも雑念が多く、サイト巡りや漫画読んでしまう自分を、追い込んでみようと思います。
とりあえず、宣言。
『来週の日曜日までに、本家に載せるぞぉ~!』
と、いうことです。

追記リンクより、『朱知-アケチ-』です。
キーワードは、小父さん・少女・蜘蛛です。
わお、これだけで内容丸わかり^o^!(←。
ここに載せちゃったからには推敲頑張らねば! ってことです。
ビバ、自己暗示?
もしよろしければ。

※注意
・いやらしいと取れる表現がありますので、苦手な方はご注意ください。
・薄暗い話です。
・推敲の前なので、いつも以上にグダグダ。
・例のごとく、変態っぽい。
・ぶっちゃけ、本家の『○○○』と話かぶってる。

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朱知がね、死んだんだよ。

 と、小父さまは静かな声で言った。縁側に座り、ささやかな庭を眺め、薄いお茶をすすっていた。小父さまは、小父さまの周りの虚空は何時も通りだった。でも確かに、小父さまの視線の先に朱知はいなかった。
「残念でございますね。」
小父さまはふむ、ともふう、ともとれる声を漏らすとひと口、お茶をすすった。わたくしも小父さまの視線の先――庭の隅にちょんぼりと植えてある茶の木を見る。
 ただ、主のいない蜘蛛の巣が風に揺れていた。
 朱知とは女郎蜘蛛の名だ。小父さまが名づけた。
『蜘蛛と言うのは知るという字と朱という字を書くのだよ、どちらも虫偏をつけてね。だから、彼女の名はアケチだ。トモアキだと男のようだから、ひっくり返してアケチにしよう。』
そう言って小父さまは朱知を飼い始めた。夏のことだったと思う。正確に言うとただ見守っていただけかもしれないが、小父さまの中で朱知と言う女郎蜘蛛はそれなりの存在を占めつつあったようだ。
「残念だね、彼女は卵を持っていたのに。」
 小父さまの声は本当に残念そうだった。少し妬け、わたくしの中の嗜虐的な部分が疼いた。
「どうして死んでしまったのです。」
あえてわたくしは、小父さまの口から朱知の死を聞きだし小父さまを苦しめようとした。
 小父さまは茶の木を見つめたまま言った。
「猫にね、ぱくりとやられてしまったんだ。」
「ぱくりと、でございますか。」
「ああ、ぱくりと。風で巣が揺れていてね、猫がじゃれたんだ。朱知が驚いて逃げたら猫が追ってね、ぱくりさ。」
「呆気ないものでございますね。」
「ああ、呆気ない。」
 すっと小父さまはわたくしの方を向き、わたくしの目を見つめた。静謐で静寂で、底なしの湖のような瞳。いつも見惚れる前に、そのあまりの人間離れした美しさに寒気を覚える瞳。
「命とは呆気ないものだ。些細なことで、すぐに消えてしまう。」
「小父さまも、消えてしまうのですか。」
わたくしの不安は自然と言葉になり口をついた。小父さまは儚かった。
「そうだよ、私もいつか消えるし、君も同じだ。」
仕方なさそうに笑い、小父さまはわたくしの頬を撫でた。手のあまりの冷たさに、背筋がぞわ立つ。
「小父さま、手が冷とうございますよ。今、温かいお茶を淹れてきて差し上げます。」
 わたくしはそう言ったが、小父さまはわたくしから手を離さなかった。小父さまの冷たく細い指はわたくしの首筋を這い、着物の襟のあたりを弄(まさぐ)った。くすぐったい様な、蕩ける様な感覚が走り一瞬体から力が抜ける。その隙をつき、小父さまはわたくしを押し倒す。
 耳元で囁く。
「人は儚い。だから出会う一瞬に身をささげるんだ。」
ぞっとするほど低い掠れた声。きっとわたくししか知らない声。
 それとわたくしは知っている。小父さまの手はこれ以上わたくしの着物の中に入ってこないことを。それはいつものことだから。わかっていても期待してしまう純情なわたくしの心を焦らして焦らして……小父さまはわたくしを解放するのだ。
 再びわたしの頬に手を戻す小父さま。
「小父さまは何時もわたくしのことを子ども扱いしますのね。」
わたくしは頬の上を滑る小父さまの小指を捕まえて、噛んだ。わたくしの犬歯と小父さまの爪が当たりあって、かちと音を立てる。
「大切なお隣のお嬢さんだ、手を出すわけにはいかないだろう。」
小父さまは困ったように笑う。
「わたくしが、こんなにも望んでいるのに。」
わたくしは精一杯の色香を含ませ、ぐっと小父さまをにらんだ。
「いけない子だ、年寄りにそんな色気を使うのは。その目は大変よろしくない。私を殺す気かい。」
小父さまはからから笑い、完全にわたしから手を離した。
 今日もわたくしの負けだ。
「こういうときだけ年寄りになるのは、ずるうございますわ、小父さま。」
せめて悔し紛れに言う。
 実際、小父さまは年寄りと言うには若かった。若々しさはないが生々しさがある。生気はないけれど色気がある。容姿には華でなく影があるから気づかれにくいが、その美しさに気づいてしまえばほら、わたくしは虜になっている。
「私が君を手籠めにして、どうなると言うのだ。」
 朱知のなき跡に目を向け、小父さまが言う。
「一瞬に身をささげるのです。」
「私と君が交わればきっと、異形が生まれるだろうね。」
平生にない、おどけるような口調で小父さまが言った。
「小父さま。」
わたくしは心細くなって、小父さまを呼びその体に手を伸ばした。小父さまは返事をしてくれず、庭から目を離さない。
 普段より人間味のある小父さまなのに、こんなに遠くに感じるのは、どういうわけなのだろう。
「朱知は本当に呆気ないものだ……朱知、また私を置いていくのだね、朱知。きっとそう言う定めにある名なのかもしれないね、なあ、君。」
「そうですわね、小父さま。」
わたくしは返事をした。小父さまがわたくしを求めていないことくらいわかっているけれど、朱知に対する、せめてもの抵抗だった。
 きっと小父さまの心を占めているのはアケチ。蜘蛛ではなく、女のアケチ。
 


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以上です。短!
ここまで読んでくださりありがとうございました!
本当なら、『続きに乞うご期待!!』と言いたいところですが、こんな感じでうだうだしたまま、だーらだーら続く話です。
頑張ります。頑張ります。
では、文章の推敲に戻ります。


※この記事は、本家に話を載せたら消すかも知れません。が、面倒がりなのでたぶん消しませんね。
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コメント
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こんばんは
アケチ、拝読しました!
ぬらぬら感があってすごいです。本家UP超期待してますね^^

ではでは!
2009/12/18(Fri)00:52:53 編集
>>丁さま
わぁ、コメントありがとうございます!
頂いたお言葉を励みに、早く本家にupできるよう頑張ります!

本当にありがとうございました。
ハセ 2009/12/18(Fri)23:08:33 編集
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